原価管理: 2009年2月アーカイブ

同じ材料を用い、同じ工程から複数の製品を生産する場合に適用される原価計算で、石灰からコークス、タールなどを生産する企業などがこれを用いる。この原価計算では、連産品別の製造原価を決める等価比率の適切な設定が重要となる。

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関連用語: 総合原価計算


累積原価

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ある特定の品目に注目した時、その品目自体の内部原価にその構成品としての加工や購入の原価である外部原価を加えたものを累積原価という。たとえば、製品Xの内部原価は労務費の10円であり、製品Xの外部原価は部品aの加工費15円と部品b、材料イの材料費12円である。この時、製品Xの累積原価は、材料費が12円、労務費が25円となり、製品原価として37円となる。

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このように各品目の累積原価は、組立品や部品それに原材料などそれぞれの品目に登録されている内部原価を積上げることにより算出される。これは一般に、製品別標準原価計算もしくは原価積上げなどといわれている。
コンピュータでこの累積原価を算出するには、部品表の品目に、原価情報として内部原価の欄と累積原価の欄を設ける。この各々の原価欄の明細項目として材料費、労務費、経費の欄をもつ。外注の扱い品目の多い工場では、外注加工費を別項として設定する。また、内部原価の欄を標準原価と当座標準原価とに大きく分けて、それぞれに原価要素をもたせることもある。いずれにせよ、累積原価は、見積書作成原価変更、標準原価計算などに使われる。


関連用語: 内部原価と外部原価

変動費

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Variable Cost

製品の生産量や販売量に応じて、一定期間における総額が比例的に変動する原価をいう。つまり、変動費は、製品の生産に直接関連することから、製品原価とか直接原価、それに限界利益に対して限界原価などとも呼ばれる。 変動費は、その変動の割合によって、次の3つに分けられる。
比例費:生産・販売量に正比例して変動する。
逓増費:生産・販売量に応じて変動するが、その割合が変動以上になる。
逓減費:生産・販売量に応じて変動するが、その割合が変動以下になる。


関連用語: 費用構成

標準原価計算

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Standard Cost Accounting

科学的、統計的方法で、かつ能率の尺度となり得る標準消費量や標準価格を用いて行う原価計算をいう。これは、実際消費量や実際価格を用いた実際原価計算が財務会計に役立つのに対し、原価管理を徹底し、経営の効率化を図るために行われる。標準原価計算を行うには、まず標準原価を設定することから始まる。標準原価は、その適用の期間と目標の高さから区分すると、当座標準原価、基準標準原価それに理論標準原価の3つに分けることができる。また、直接材料費、直接労務費、製造間接費について各々次のように標準を設定する。

標準直接材料費=標準消費量×標準価格
標準直接労務費=標準直接作業時間×標準賃率
標準製造間接費:固定予算または変動予算のいずれかで計上

このような標準原価の関連は図のようになり、このうち標準原価計算により、主に物量標準を対象として原価管理が行われる。

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関連用語: 原価計算



標準原価

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Standard Cost

科学的、統計的方法で、かつ能率の尺度となり得る標準消費量や標準価格を用いて計算された原価をいう。これは、事前原価であり、正常な状態を前提とした実体原価である。
標準原価には、次の種類がある。
当座標準原価:現実的標準原価を指し、通常発生する仕損や減耗、遊休時間などのロス率を含んだ、達成可能な原価目標を示す。また、この原価は、実際に即した標準原価であり、一事業年度内に材料費や労務費に大きな変動が生じた場合、随時改訂され、予算の基礎や棚卸の評価に使われる。このため標準原価は予算原価とか予定原価と呼ばれる。
基準標準原価:正常的標準原価を指し、いったん立てた原価を次年度以降も継続して使用し、将来の原価動向を把握するための基礎として用いる。
理論標準原価:理想的標準原価を指し、努力目標として、理論的に達成可能な最高の操業度、最大の能率により計算された最低の原価を示す。これは仕損、減耗、ロス率など過去の値からすべて取り除いた値を使用する。

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関連用語: 費用構成


費用構成

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受注生産の場合、製品の販売価格は、一般にその製品を製造し、販売するのに消費された費用、つまり総原価に適切な利潤を加えて決定される。また、見込生産の場合、製品の販売価格は普通市場価格によって決定される。このため適切な利潤を引いた残りが投入でき得る総原価ということになる。
このように受注生産、見込生産において、原価に対する考え方が異なるにしても、製品販売価格からみた費用構成は、いずれも概念的に同じであり、図のようになる。製品の費用構成の基本は製造原価であり、これは直接費と間接費とに分けられる。製造直接費は、直接材料費、直接労務費、直接経費から成り、これに光熱費、治工具費、保全費、設計、購買、福利厚生などの製造間接費を加えると製造原価となる。これに広告宣伝費、販売員給与などの販売費及び一般管理費を加えて総原価となる。

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品目の原価は内部原価と外部原価とに分けることができる。製品を構成しているある特定の品目の原価に注目した時、その品目を製造するために消費する原価とその品目の構成品、つまり子品目での加工および購入に要する原価とに分かれる。前者を内部原価と称し、後者を外部原価といい、内部と外部の両原価を合わせて、その品目の累積原価という。
図で示す製品Xは、組立品aとbを使用して組立てられる。この場合、製品Xの内部原価はXの組立に要した費用であり、外部原価は、原単位および不良率を考慮した組立品aの加工費と部品bの買入部品費それに材料イの主要材料費の合計となる。また、製品Xの累積原価は、この内部原価と外部原価の和によって求められる。 このように各品目の原価を内部原価と外部原価とに分けて管理することにより、より細かな原価の分析ができ、また原価変更に対しても原価積上げが簡単になることから、その影響把握も容易になる。

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関連用語: 費用構成

内部原価

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品目の原価は内部原価と外部原価とに分けることができる。内部原価とは、ある品目を製造または購入するための原価を示す。内部原価の内容には、材料費、労務費、経費、外注加工費、間接費がある。この例を図示する。このように各品目ごとに内部原価をもつことで、原価変更による影響把握などが容易になる。

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関連用語: 内部原価と外部原価

製紙業、製鉄業、製材業などのように、同じ種類の製品を同じ原材料、同じ工程を使って連続的に生産する企業で用いられる原価計算である。この原価計算は、製品のクラス別の原価を分割する基準、つまり等価比率を正確に求めることが重要となる。

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関連用語: 総合原価計算

直接労務費

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Direct Labor Cost

製造原価の直接費に含まれる費用で、特定の製品を直接製造している作業員、つまり直接工に支払われる賃金が直接労務費である。


関連用語: 直接費

直接費

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Direct Cost

製造原価をその形態から捉えると直接費と間接費とに分けられる。直接費とは、製品の製造に消費した物量のうち、計測し得るものについての原価であり、直接材料費、直接労務費、直接経費に分けることができる。


関連用語: 費用構成

直接材料費

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Direct Material Cost

製造原価の直接費に含まれる費用で、製品の製造に直接消費される材料費である。これは大きく、製品の主要部分となる主要材料費と、購入されてそのまま製品に組み付けられる買入部品費とに分けることができる。


関連用語: 直接費

直接原価計算

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Direct Costing

全部原価計算が製造に費やしたすべての原価を単位原価の対象とするのに対し、部分原価計算としての直接原価計算では、変動費のみを製品にかかわらせて、単位原価を計算する方法である。このことから、直接原価計算とは製品の生産と販売との関係で原価を変動費と固定費に分け、製品の原価を変動費だけで計算し、固定費は期間原価として捉え、その総原価を対象期間の収益に対応させる原価計算である。 この原価計算は、全部原価計算などと比べると簡単であるだけでなく、予算、利益、原価の各々の計画と管理に対する資料がたやすく得られる利点がある。しかし、計算の対象が変動費だけであるため、財務会計上、調整計算が必要となる。

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関連用語: 原価計算

直接経費

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Direct Expense

製造原価の直接費に含まれる費用で、特定の製品の製造原価として直課させる原価を直接経費と呼ぶ。しかし、製造原価の経費の多くは間接費で、場合によっては外注加工費や設計費などが直接経費として扱われる。


関連用語: 直接費
セメント業、製氷業、製麺業、電球製造業などのように、単一の製品を単一の工程で反復連続的に生産している企業で用いられる原価計算である。この原価計算では、一定期間を対象として計算が行われ、その方法は、単一工程総合原価計算と工程別総合原価計算とに分けられる。 単一工程総合原価計算では、単一製品を単一工程で製造する工場に適用されるもので、一定期間に発生した費用をその期間に製造した製品数で除して製品1単位当りの製造原価を算出する。また、工程別総合原価計算は、単一製品を複数の工程で製造する工場に適用される方法である。この場合、各工程で発生した共通費の配賦が必要となる。これらのいずれの原価計算でも、仕掛品の評価が製造原価に大きく左右する。このため、現品管理や在庫管理を充実させるとともに、的確な棚卸を行い、適正な仕掛評価をすることが重要となる。

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関連用語: 総合原価計算



総合原価計算

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Total Costing

同じ種類または異なる種類の製品を連続的に反復して生産する企業や部門の原価把握に使用する計算方法である。原価計算の種類とこれらが使われる生産形態の特徴およびその主な業種を次に示す。総合原価計算は、ある特定期間での製品原価を計算するため、同一製品の単位原価は1期間1つとなる。このため比較的計算が簡単で、計算のための時間や費用が少なくて済む。しかし、期間末まで原価を把握できないとか、期間内の原価の変動を把握しにくいなどの面がある。

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全部原価計算

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Full Costing

原価は、原価計算の範囲やその対象の違いによって全部原価と部分原価とに分けられる。実際原価計算や標準原価計算などは、製品の生産や販売によって発生するすべての原価を一括して計算する。このような原価計算を全部原価計算と称する。これに対し一部の原価で計算する方法を部分原価計算といい、直接原価計算がこれに当たる。財務会計上は、全部原価計算が用いられるが、売上高と利益とが必ずしも比例しないため、原価管理には直接原価計算の方が向いている。

mrp_131.jpg全部原価計算の手順は、実際原価計算や標準原価計算と同じで、まず原価を直接費と間接費とに分け、次に製造部門と補助部門に分類して集計し、最後に製品に直課または賦課して単位原価を計算する。


関連用語: 原価計算


準変動費

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製品の生産量や販売量に応じて、一定期間における総額が変動する費用である。しかし、変動費と比べると比例的な変動はなく、固定費との中間的な費用である。このことから準変動費を準固定費と呼ぶこともある。


関連用語: 費用構成

実際原価計算

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Actual Cost Method 原価計算

製品の生産完了後、生産過程の中で消費された実際消費量と実際取得価格による事後原価計算をいう。この原価計算は、製品、半製品、仕掛品について、生産過程で発生した実際の製造原価を計算することから、財務諸表作成のために適した原価計算である。財務会計上、製品原価の計算は原則として実際原価で行う。しかし、材料費の計算では予定価格、労務費の計算では予定賃率、間接費の計算では予定配賦率というように、一部予定価格を使って計算することもある。 実際原価計算は、決算報告には必要でも、実際原価を妥当なものとして採用するため、基準となる実際原価や不良率の原因が判別しにくい面がある。このため、原価管理を重要視するには、標準原価計算との併用が必要である。実際原価計算の計算手順は、費目別原価計算、部門別原価計算、製品別原価計算の順で行われる。

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実際原価

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Actual Cost

製品を生産するために実際に要した消費量および実際の取得価格によって計算した原価をいう。これは、実績資料を基にして計算されるため、過去原価とか事後原価などと呼ばれる。しかし、実際の原価であっても、異常な消費量とか取得価格は除かれて、実際原価には算入しない。また、実際の消費量によって計算した原価は、たとえ予定価格を用いても実際原価とみなされる。


関連用語: 費用構成

個別原価計算

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Job Order Cost System

1つひとつ違う製品を製造指図書によって生産するような生産形態、つまり個別受注生産形態で使われる計算方法である。製造命令として発行された各製品の製造指図書に従って、各費用を直接費と間接費に分ける。このうち直接費は各製造指図書ごとに原価集計し、間接費は一定の基準に従って配賦計算を行い、各製造指図書ごとの製品原価に加算して製品原価を計算する。 個別原価計算は、個別に製品の原価計算を行うため、各注文に対しての採算について的確な判断が可能となり、以降の原価見積の基礎資料ともなり得る。しかし、製品個別に計算を行うため、多くの時間と経費がかかり、配賦の基準や配賦計算自体の信頼性に疑問をもたれやすい。

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関連用語: 原価計算

固定費

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Fixed Cost

製品の生産量や販売量とは直接かかわりなく、一定期間における総額が変化しない原価をいう。つまり、固定費は時間の経過とともに発生するところから期間原価と呼ばれたり、生産や販売活動を行うのに必要な準備をするために必然的に発生する費用であることから、準備費用、能力費用、とくにキャパシティコストなどとも呼ばれる。
部品加工業や製薬業などのように、同じ製品を数工程で連続的に生産する企業で用いられる原価計算である。この原価計算では、各工程別の当期消費高と期首、期末の仕掛高から完了品原価を求める。この計算のポイントは、複数の工程で共通に使われる工程共通費の配賦を合理的に行うことにある。

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関連用語: 原価計算

原価差異

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Cost Variances

製品を生産するために実際に要した実際原価と、目標として設定した標準原価との差異を分析することで、管理に有効な原価情報が得られる。原価差異は、目的に応じて、次の3つに分けることができる。

 直接材料費差異

価格差異=実際消費量×(標準価格-実際価格)
数量差異=標準価格×(標準消費量-実際消費量)

直接労務費差異

賃率差異=実際作業時間×(標準賃率-実際賃率)
時間差異=標準賃率×(標準作業時間-実際作業時間)

製造間接費差異

操業度差異=(標準作業時間×標準間接費率)-標準作業時間に対する許容予算額
予算差異=標準作業時間に対する許容予算額-実際間接費

直接材料費差異の原因として、市場価格の変動や価格折衝の失敗それに材料どりの悪さなどが考えられる。また直接労務費差異は期中でベースアップが起こったり標準賃率を無視した要員配置などにより発生する。これは、直接経費差異についても同じことがいえる。このように、原価差異を分析して、その主要となる原因を見つけ出し、以降の管理活動に役立てる。


関連用語: 実際原価標準原価

原価計算

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Cost Accounting

製造業での製品原価を計算することを指し、材料費に加工に要した費用を加える一連の手続をいう。
原価計算は、次の目的に従って行われる。
● 財務会計目的:財務諸表作成に必要な資料の作成。
● 予算管理目的:予算の編成や統制に必要な資料の作成。
● 価格算定目的:製品の販売価格を決定するために必要な資料の作成。
● 経営計画目的:利益計画、経営計画に必要な資料の作成。
● 原価管理目的:原価管理に必要な資料の作成。
このように原価計算は、その目的によって各種のものがあるが、企業の業種や業態それに原価の算定基準やその対象範囲から捉えると、次のように分けられる。
● 企業の業種・業態:総合原価計算、個別原価計算
● 原価の算出基準:実際原価計算、標準原価計算
● 原価の対象範囲:全部原価計算、直接原価計算
● 制度外の原価計算:特殊原価調査
原価計算を目的別にみると、このような各種の原価計算は次のように用いられる。

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鋳物製造業、電気機器製造業などのように、異なる種類の製品を連続的に生産している企業で用いられる原価計算である。組別総合原価計算では、原価計算期間の総製造原価を組直接費と組間接費とにあらかじめ分けて、組直接費は、それぞれの組の製造オーダーに直接賦課し、組間接費は一定の基準で各組に配賦する。

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関連用語: 総合原価計算

間接労務費

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Indirect Labor Cost

製造原価の間接費に含まれる費用で、2種類以上の製品の製造に従事している作業員への賃金を指し、倉庫部門、保全部門などの間接作業賃金や間接工の賃金などが含まれる。


関連用語: 間接費

間接費

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Overhead Cost

製造原価をその形態から捉えると直接費と間接費とに分けられる。間接費とは、個個の製品に直接的にどのくらい消費されたか、計量することができにくい原価であるか、もしくは計量することが実際に困難な原価であり、間接材料費、間接労務費、間接経費に分けることができる。


関連用語: 費用構成

間接材料費

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Indirect Material Cost

製造原価の間接費に含まれる費用で、製品の製造に際し、間接的または補助的に消費される材料であり、補助材料費、工場消耗品費、消耗工具備品費から成る。具体的に、補助材料費とは、燃料、油脂、塗料、薬品、包装材などがあり、工場消耗品には潤滑油などがあり、いずれも間接的、補助的に消費される。また、消耗工具備品費とは、耐用年数1年未満の工具や器具、備品などの消費額を示す。


関連用語: 間接費

間接経費

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Indirect Expense

製造原価の間接費に含まれる費用で、福利厚生費や減価消却費それに棚卸減耗費などから構成される。


関連用語: 間接費

外部原価

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品目の原価は、内部原価と外部原価とに分けることができる。外部原価とは、ある品目に注目した時、その品目の構成品での加工および購入に要する原価合計を示す。たとえば、図のように製品Xからみた外部原価は品目a、b、イの各々の内部原価の合計であり、品目aからみた外部原価は材料イの原価が外部原価となる。ある品目の外部原価に内部原価を加えるとその品目の累積原価となり、製品別標準原価計算において使われる。

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反意語: 内部原価

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