< 生産計画コンサルティング コラム5 >
金型工場の生産スケジューリング
BOMに誤差はあるが、生産の「見える化」が進んだ
生産計画スケジューラの導入が完了し、成功裡に稼動している工場を訪問した。この工場では金型を生産している。まず工場見学をさせていただいた。工場には生産計画スケジューラで立案した結果が印刷して張られていた。生産スケジューラは、細かい作業指示を出すのが本来の機能であるが、この工場では、細かな生産指示を現場には出してない。各マシンへの作業の割付と負荷量のグラフを表示していた。あとは現場で状況に応じて実際の作業を行うということである。金型製造では、数百の部品が加工され、組立てられる。1つの金型でも全体の工程数は数百と膨大だ。そして複数の金型の製造が同時並行的に流れていく。工場の各機械の負荷を人間が考えるのは至難の技だ。生産計画スケジューラを用いれば各機械の細かい作業指示まで出力され、その集計結果として各機械の負荷が算出される。また、金型生産の加工工程の加工時間は設計時点では確定しないことが多い。加工を始めてみないと最終的な加工時間が分からないこともある。そのような場合は、生産計画スケジューラが緻密に計算した作業指示やそれから算出された負荷値も参考値でしかない。そのため、生産計画スケジューラからの各機械への作業の割り振りと負荷値を参考値として、実際の生産時点では現場の判断により加工を行うということだ。
このように加工時間が不明な場合、BOMの誤差が多いから生産計画スケジューラは使えないと思いがちである。しかし、ある程度BOMに誤差があったとしても、生産計画スケジューラで計算させれば、負荷や原材料の所要量はつかめ、それらのグラフにより生産の「見える化」が実現する。このような情報も活用することは有益である。
ビジネスに限らずどんな場合でもそうであるが、元々未来に起こることは不確定性がある。現在得られる情報から未来を推定して、先手を打っていくことは重要である。
関連項目: BOM整備のデータ形式
関連項目: 設備や人員の未来の負荷の見える化 (負荷グラフ)
関連項目: 所要量の見える化
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