5Sは自分の作業現場はもちろん、工場全体にいきわたらなくてはならない。また5Sは推進チームだけの仕事ではなく、職場の1人ひとりが実践していくものである。そこで全社的に責任を共有する意味から、毎日、個々に5Sの担当区域を定め、「当番制」とする。この日程を組んだものを「5Sスケジュール」という。
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5Sを推進・維持するために、特別に編成されたスタッフのこと。広義では、5Sを通して現場改革に関わる人々すべてを意味し、全員がスタッフということになるが、通常は「5S推進チーム」や「5S企画室」のメンバーのことをいう。
5S運動の指導的存在で、推進計画を作成し、改革の先頭に立つ。もちろん、そのリーダーにはトップが就任する。
関連用語: 5S推進チーム
改革には抵抗はつきもの。なかでもよく聞かれる言葉には次の12項目があげられる。
抵抗1「いまさら整理・整頓なんて」
抵抗2「5S運動の委員長を、社長のオレがやるのか」
抵抗3「どうせすぐに汚くなるんだから」
抵抗4「整理・整頓なんかしたって、生産高が上がるわけではない」
抵抗5「そんなつまらないことで、とやかく言うのはどうも」
抵抗6「整理・整頓なんて、すでにできている」
抵抗7「これだけ書類が散らかっていても、オレにはわかるんだから」
抵抗8「そんなものは、20年も前にやったよ」
抵抗9「5Sや改善は現場の問題だ」
抵抗10「忙しくて、整理や清掃をやっているヒマがない」
抵抗11「お前に命令されてやるのはイヤだ」
抵抗12「いーじゃないか、儲かってるんだから。オレの好きなようにやらせてくれよ」
これらを現場に掲示し、5S抵抗を一掃するための道具とする。
5Sは現場改革の基礎であるから、トップ自らが立ち上がり全社的に推進しなければならない。導入の手順は以下に示すとおりである。
ステップ1
5S推進体制の確立
5Sの組織づくりから、トップは当然その最高責任者となる。
ステップ2
5S推進計画立案
導入は集中期間を設定、1ヵ月・1年ごとのスケジュールを立てる。
ステップ3
5S運動宣言
トップが5S運動の推進を社員全員に宣言。
ステップ4
社内啓蒙・教育
自発的5Sをうながすための躾。
ステップ5
5S実施
具体的施策の実行。
ステップ6
5S評価・維持
崩れない5Sを徹底。
またステップ4~6はよりレベル・アップするため、繰り返し行われる。啓蒙・教育→5S実施→5S評価→高い目標→啓蒙・教育→5S実施→5S評価...。(図43)
図43 5S導入手順
5S運動を啓蒙するための手段の1つで、いわゆる社内マスコミ。各職場の5S状況やテーマを「ニュース」としてとらえ発表する。コラム風に記述したり漫画で描いたり…。月1~2回発行し朝礼時に配り、「朝礼・夕礼1分5S」の素材に取り上げたりする。
5Sは導入期間だけ実施するものではなく、日々習慣化し、一連の業務の中で自然に5Sが実現されていることが大切である。このように生産の流れの中に組み込むことを「5Sの流れ化」とか「5Sのライン化」等という。
5Sは持続し日常業務の習慣となってはじめて効を奏す。そこで常に5Sが“乱れない・崩れない”ように監視することが必要となる。これが5Sパトロールであり、「5Sパトロール隊」がその任務を担う。定期的に現場を巡回、「5Sチェックリスト」等を用いて、5Sの進捗状況を視察する。また“即時改革”をモットーに改革策も指導することが大切である。
5S理論をわかりやすく平易な言葉で表した標語。5S推進ツールの1つである。一般には社内から募集して「5Sポスター」「5Sステッカー」「5Sミニ標語板」等に記して掲示する。"覚えやすさ・言いやすさ"がポイントで、俳句や短歌形式が用いられる。
関連用語: 5Sミニ標語板
5S評価の一環で、取り組みへの主体性を"躾ける"ためにも、職場ごとに競争意識をもたせることを目的とする。
5Sパトロールの際、チェックした各職場の評価にランクづけをし、優秀な実績をあげている職場には何らかの表彰をする。そして、そうでない職場とはっきり区別することが必要である。「5Sコンテスト」をあわせて行う。
関連用語: 5Sコンテスト
5Sの定義およびその内容をまとめたマニュアル本。常時「5Sとは何か」を認識し、即実践に役立てるためにも、携帯できるポケットサイズにしてある。朝礼・夕礼時の「1分間5S勉強会」の教科書としたり、現場で疑問がわいた時、実際の5Sをチェックする時の指針書として使う。(図45)
図45 5Sポケットマニュアル
5Sの標語や月ごとの5Sテーマ等を表したポスターで、1年に1~2回作成し、各職場ごとに掲示する。5S運動を推進するという、会社の社内広告ともいえる。(写真13)
写真13 5Sポスター
5S改革を進める過程で、その指示を与える道具として、5Sマップに仕組みを取り入れることを意味する。
たとえば、5S区域と各担当者名を記し、業務・責任の所在を明確にする。また5Sマップにはあらかじめ、注意点がメモできる「5S改革きっぷ」を備えつけておく。そして5Sパトロール等の職場巡視時ほか、通りすがりに、何か気がついたことがあれば「きっぷ」に記入し、改革すべき場所のマップにこれを貼り付け、改革を確認したら「きっぷ」を外す。
5Sの「目で見る管理」として、もっともポピュラーといえるのは「掲示板」である。5Sチェックリスト等のデータ表から、5S写真、5Sポスター、5Sマップ等、5S意識の向上にはこれらの掲示は有効である。
そもそも"掲示する"とは、人の目につくところに、知らせることがらを書いたものを貼り出すこと。またその"知らせる"効果を高めることは「5S掲示板」の目的・使命であり、貼る場所・貼り方には工夫が必要である。
「5Sミニ掲示板」の利点は、名のとおりサイズが小さいこと。場所をとらないため、どこにでも貼れる。一方内容も限られるが、"多くを語る"大掲示板より、印象に残りやすい。しかし誰でも必ず目にする所に貼ることが大切である(トイレ、ロッカー等)。(写真14)
写真14 5Sミニ掲示板
関連用語: 5Sミニ標語板