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5Sの躾とは、「決められたことを、いつも正しく守る習慣づけ」と定義される。これは単に「ルールを正しく守ること」を強制するのではなく、現場の主体性をいかに引き出すかという「伸ばす躾づくり」を基本とする。
また躾は「叱る」ことでもあり、「伸ばす躾」のためにはその「うまい叱り方」を心がけなくてはならない。
ここでは逆に「下手な叱り方」すなわち「現場をダメにする12の言葉」を以下に示す。
①「オレの言うことが聞けないのか」→思考力を無くす言葉
②「お前たちには、無理だよ」→変革を妨げる言葉
③「失敗は許されん」→挑戦意欲を取り去る言葉
④「よけいなことをするな」→存在価値を破壊する言葉
⑤「これだけは覚えておけ」→自由な発想を奪う言葉
⑥「今度、間違えたらクビだぞ」→向上心を止める言葉
⑦「そんなことだから...なんだ」→後悔している心に反発を起こさせる言葉
⑧「そんなことは常識だよ」→たえず周囲ばかりを気にさせる言葉
⑨「部長が、そうは言ったって...」→混乱を招く言葉
⑩「そんなことは、お前に関係ない」→自主性を疎外する言葉
⑪「何が言いたいんだ」→話の腰を折る言葉
⑫「この失敗は誰が責任をとるんだ」→失敗した人をたたきのめす言葉
現物の見本を表示し、材料・部品、作業等の良否を確認する際の目安とする。ひと目で識別可能で、作業効率も上がる。
たとえば、圧力計のOKマークや不良の現品をさらしたさらし首等がある。(図30)
図30 標準書確認から現物表示確認への改革
JIT生産を目指す現場改革の基礎となる活動。
整理・整頓・清掃・清潔・躾の5つの機能からなる。これらの頭文字がすべてSであることから総称して5Sと呼ぶ。多品種化、品質向上、原価低減、納期厳守、安全性向上、可動率向上等の生産の謳い文句はすべて5Sを徹底することから始まる。
なかでも整理・整頓は基礎の基礎であり、赤札作戦・看板作戦など一対で行い、根本から現場を整え直すことをいう。
清掃は日常の掃除を徹底するという改革以前の問題である。
一方、清潔は整理・整頓・清掃の3Sを維持するためのレベルを表し、躾はその4Sの習慣づけを意味する。
また5Sは効率的な生産の体制づくりであると同時に、問題・異常がすぐ認識できる仕組みをもつことが必要で「目で見る5S」でなくてはならない。(図34)
図34 目で見る5S
5Sの具体的施策を実際に現場で取り組むこと。「5S作戦」とも呼ぶ。「5Sセミナー」「5S見学会」「5Sコンテスト」等を開催したり、5S月間を設定するなどして、全員参加の気運を高める。そのためには綿密な5S推進計画を立てる必要がある。(図36)
図36 5S推進計画
関連用語: 5S運動宣言
全社員に対して5S運動の開始を宣言すること。
文書での通達も可能だが、社長の情熱を伝えるためにも、月例会等、社員全員が揃った時に直接話すほうがよい。会社の現状、将来の展望、そして今なぜ5S運動を決行する必要があるのか、社員のヤル気を引き出すうえでも、社長の生きた言葉が望まれる。全員が集まりにくい場合は、幹部会で宣言、それをVTRに撮り各工場や営業所ごとに見る方法もある。
関連用語: 5S運動
5Sの改革ポイントを指摘した表。5Sパトロール隊等の巡視によって発見された問題点の内容と、その改革案を記入し、定点撮影した現場の証拠写真を貼付して掲示する。なお写真は5Sの効果が目で見て比較できるように、改革前・改革後の両方を貼る。(図37)
図37 ●記入例『5S指導マニュアル』、p.394より
関連用語: 5S指摘表
5Sに限らず、改革とは強制するのではなく、自らが十分に理解したうえで自主的に行わなくては、真の5Sはなしえない。
なぜ5Sなのか。その重要性を認識させ、具体的には何をやるのか、社内啓蒙・教育することが必要である。たとえば、次のような方法がある。
①標語...全従業員から5Sについての標語を募集しこれを掲示したり社内報に載せたりする
②ポスター...社内掲示用のポスターを作成、食堂、会議室、そして各職場の目につく所に貼る
③社内報...5Sに関する内容を積極的に掲載する
④5Sニュース...事務局が中心となって5Sニュースや5S新聞を発行する
⑤外部講師の教育...とくに社長・役員・幹部・職長クラスが、5S運動のリーダーたるべく講習を受ける
⑥VTR・書籍...5SについてのVTRや書籍を購入し、回覧する
⑦朝礼・夕礼での5S1分教育...職長クラスが受けた教育内容を1つひとつのコメントにして、毎日の朝礼・夕礼時に1分間にまとめて伝える
またこれらは5Sを習慣化する"躾づくり"ともとらえられる。
5Sの最終的な目的は習慣化、つまり日常の業務の中に組み込むことであるが、手始めにはまず、ある一定の集中期間を設定して、全社的に徹底した導入をすることが望ましい。一般的には1ヵ月を単位に計画を立てる。これを「5S月間」という。
1年のうち2~4回ぐらいの目安で設定。月間中は「5Sチェックリスト」等を基準に、毎週、工場全体の5Sの度合いを検証する。また各職場別にも行い月末にその結果を発表したり、「5Sセミナー」「5S見学会」「5Sコンテスト」等もその間に開催する。
5Sの各作業を具体的に項目化し、それぞれをいかなる"サイクル"で実施するか、たとえば随時・毎日・毎週・毎月等の期間があり、それを表に記したものをいう。また、この実施サイクルごとに作業を分類して「5Sチェック表」を作成する。(図39)
図39 ●記入例『5S指導マニュアル』、p.384より
百聞は一見にしかず。「目で見る5S」もしかり。5Sの進捗度合い、乱れ等を知る道具として、写真はもっともわかりやすく説得力がある。指摘表からチェックリスト、社内報にいたるまで、5S啓蒙には欠かせない。(写真9)
写真9 5S写真
関連用語: 5S写真展