保管とは、文書の利用度が高く、日常の業務を推進するために使われ、身近な所に置いて管理・参照する。これは主に、「明日の業務を促進する」ための道具としての文書が対象となる。
関連用語: 保存
保存とは、時間の経過とともに文書の利用がほとんどなく、日々の業務活動の範囲外においてもっているだけのことで、保管が明日のための文書を指すのに対し、保存文書は「過去の業務を参照する」ための記録としての文書を指す。両者は明確に区別する必要がある。
関連用語: 保管
保存すべき文書には、保存年限が必要である。この「いつまで保存するか」については、文書の種類によって法規で定められているものと、そうでないものがある。
労働者名簿や賃金台帳、それに棚卸表、決算書等法規上で定められているものは保存年限を一律に定めることができる。しかし、それ以外の報告書や議事録、企画書等の書類は、それぞれの資料の性格やその内容によっても異なり、また作成・発信部門とその受信部門とではおのずと保存年限は異なる。
保存年限は次の手順で決められる。
手順1 共通文書の洗い出し…社内には日報、議事録等各部門で共通となっている文書がある。まず、この共通文書を洗い出す
手順2 発信・受信ごとの保存年限…文書は作成し発信する側と、これを受信する側がある。この発信・受信ごとに保存年限を決める
手順3 保管と保存の年限を分ける…文書は事務所内で保管され、いずれは書庫で保存される。この保管と保存とに年限を分けて設定する
保管文書は、移し替えられ、その後、置き換えとしての保存状態となる。この時、保存は文書ごとでなく、ホルダーごとに保存年限が揃えられ、明記された保存用の段ボール箱に入れられる。
この時の注意点は、1年、2年、3年といった保存年限ごとに段ボール箱を用意し、フォルダーごとにこのいずれかの段ボール箱に置き換えて保存する。また、廃棄はこの保存年限の記入された段ボールごとに行う。
物の置き方の状態のことで、運搬活性度でとらえると、箱置きの次に活性度の高い置き方を示す。枕とは、ワークの下に枕木を入れたりして物を移動しやすい状態にすることを意味し、一般的にはパレット置きが代表となる。
製品別置き方では、同一の物でも分散されて置かれるので発注や納入が比較的難しくなるが、製品を造るために材料や部品を集めるのはいとも簡単になる。このため、生産の頻度が高い繰り返し品の生産では、ムダな動きが最小となる。このように製品単位で一括して工程に払い出すことを「マーシャリング」といい、普通は、組立ライン等の先頭で、部品トレイを用いて組立に使う部品を一括して払い出す。
マーシャリングすることのメリットとしては、
①組立作業者の横向きや振り向き作業がなくなる
②欠品不良や異品混入等の不良が減る
ことがあげられるが、供給者と作業者がそれぞれ部品に手をつけるため、取り置きが一度増えることにもなる。
究極的には整頓は「予防整頓」、つまり、戻さない、使わない仕組み作りを目指す。
整頓とは乱れるものという前提に立てば、この"乱れ"がないようにすればよい。これには、大きく2つの仕組みが必要となる。1つは"乱れにくい仕組み"であり、2つ目が"乱れない仕組み"である。
前者の"乱れにくい仕組み"の中には、躾を核として定位・定品・定量を指す"3定"と、徹底した"目で見る整頓"がある。
まず、物を"置く"ということに対し、"どこに(定位)、何が(定品)、いくつ(定量)"あるかハッキリさせ、誰にでも正常と異常がひと目でわかるよう"目で見る整頓"を行い、正しい位置に、正しい形で物を置く習慣づけをする。仮に、物の置き方が乱れたら、誰の目にも分別できるので、これを元の正しい位置に正しい形に直す。これが"乱れにくい整頓"である。
しかし、この"乱れにくい整頓"では、あくまで乱れにくいということであって、乱れない保証は何もない。より原点的整頓を実施すれば、「乱れにくい」等といった中途半端ないい回しではなく、「乱れない」と断言できるはずである。これが「乱れない整頓」ということになる。
では、「物はなぜ乱れるのか」―"物の乱れ"はそれを使う時より、むしろそれを戻す時に多く発生する。一般的な物の使われ方の中で、台車・運搬具、治工具・金型、それに文書の3つが使われた後に"戻る"性格をもっている。また、在庫品については、ピッキングの際の一括取り出しとか、現場への一括出庫の場合、"戻入★れいにゅう★"という行為が発生する。このように物の行為から分析してみると、"戻す"性格をもっている物は乱れやすいということになり、"戻さない、または使わない仕組み"を作れば"乱れない整頓"ができ上がる。
戻さなくてもよい仕組みには、①吊るす、②組み込む、③使わない、の3つがある。
一方、治工具や金型に関する"乱れない整頓"には、①工具の共通化、②工具の代替化、③手段の代替化、の3つの方法がある。
関連用語: 予防整頓
よりよい整頓は、治工具を使い終わり手を放したら整頓が終わること。このためには、上からバランサー等を用いて吊るす方法が多く使われる。戻す場所を確認せずに手を放して一発整頓完了、これが崩れない整頓になる。
関連用語: 一発整頓完了
名刺の整頓も基本的には文書の整頓と同じ。だが、これも伝票と同様に文書と少し違いがある。
違い1 サイズが文書より小さく、一般には55mm×90mmである
違い2 裏面の印刷文字を参照することもある
違い3 名刺を見るだけで、その人物や折衝状況がイメージとしてわく
こうした違いから、名刺の整頓には1ページに複数名刺がファイルでき、取り出し・戻しが簡単にできる差し込み式で、かつ名刺の名前からイメージがわくように、名前が見えるものがよい。
また、分類の方法は、業務での名刺であれば個人名より会社名でのカナ文字分類が一般的である。
名刺も文書と同様に、保管と保存の考え方を採用すべきである。(図141)
図141 名刺の整理
躾の原点は"心"であり、それを"目で見る"ことは容易でない。しかし、心は何らかの"行動"に結び付き形となって現れる。その行動の結果から、躾の度合いを判断する。
この場合の「行動の結果」とは、整理・整頓・清掃・清潔の成果を目で見える形にすることを意味し、「5Sチェックリスト」「5Sパトロール点数表」による5S評価のほか、5S写真展・VTR大会等があげられる。
心の躾づくりには、形づくりから入る「目で見る躾」も大切である。
関連用語: 目で見る5S
清潔とは、整理・整頓・清掃の3Sの度合いを表す。すなわち、3Sがどの程度維持されているかを診ることが「目で見る清潔」のポイントとなる。「清潔度5点チェックリスト」はその代表例。
関連用語: 目で見る5S
「目で見る清掃」は通常、点検・保全業務と連係した形をとる。清掃点検は毎日実施され、「清掃チェックリスト」や「清掃点検チェック表」等、"目で見える形"でその状況・結果を明らかにし掲示する。一方、発見した問題・異常については、その欠陥箇所に「保全カード」を貼り対処(復元・改善)を要求する「保全かんばん」を用いた清掃保全となる。このため、「目で見る保全」ととらえることもできる。
関連用語: 目で見る5S
生産活動に必要な物の置き方を"標準化"し、さらに「目で見る管理」であることをいう。"どこに、何が、いくつ"あるか表示する「看板作戦」や、スペースを"線引き"して区分けする「ペンキ作戦」のほか、「色別整頓」「形跡整頓」もこれにあたる。
看板作戦...看板を表示することで、誰にでも「物の置場」がわかるようになる
ペンキ作戦...ひと目で感知できるように線引きする。結果、通路・作業区等の規制・安全が保たれる
色別整頓・形跡整頓...色や形跡はひと目で識別しやすい
関連用語: 目で見る5S
「目で見る整理」には、既存する不要物を捨てるための「赤札作戦」と、不要物をつくらない"捨てない整理"の道具「かんばん」があげられる。
赤札作戦...赤札を貼り、誰でも不要物がひと目でわかるようにする
かんばん...不要物が発生しない仕組み。「必要な物を、必要な時に、必要なだけ造る」ための作業指示や発注指示を与え、物の流れが目で見てわかるようにする
関連用語: 目で見る5S