原則として、その機械や設備を日常使っている作業者が担当する。また多工程持ち等で、1人の担当機械の数が多くなる時は、職長やリーダーがそのいくつかを分担してもよい。
こうして決められた各機械ごとの担当者は、機械設備に取り付け、ないしは掲示する設備看板に必ず記名する。
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"目で見る清掃"を進めるうえでの、重要なフォーマットの1つ。清掃は保全活動の基本としての日々点検業務と合わせられ、清掃点検として毎日実施すべきである。この"業務"が確実に実効されているかどうかを確認するために役立てられるのが「清掃チェックリスト」や「清掃点検チェック表」である。(図79)
図79 ●記入例『5S指導マニュアル』、p.450より
清掃点検の手順の3番に位置するのが「清掃点検方法の決定」。
まず、点検すべき項目を洗い出し、これをチェック項目とし、清掃チェック項目の中に組み入れて、清掃点検チェック項目を作成する。また、清掃点検チェック項目をつくるためには、現象面から観たポイント、機構面から観た点検のためのポイントの両面から洗い出す必要がある。(図80、図81)
図80 現象面から観た清掃点検のポイント
図81 機械面から観た清掃点検のポイント
清掃とは、きれいですっきりした職場をつくり、気持ちよく働ける環境にすることであるが、より重要なことは、「使おう」と思った時に、その機械・設備等がいつでも正しく使える状態になっていること。このためには、年末に1回の大掃除のみならず、日々の業務の中に清掃も組み入れて全員が日常化、習慣化することがポイント
清掃は日々行うのが原則であり、作業後の後片づけ的掃除はもちろんのこと、作業前はその日の点検も含めて実施する―これが日常清掃の基本。これを徹底して習慣化するためには清掃方法等を決めて、円滑に実施しなければならない。清掃方法の主なものに、①5分間清掃、②清掃手順、③清掃対象と清掃用具等を決め、ルール化、標準化しておくとよい。
5Sとしての整頓は「要る物を使いやすいようにきちんと置き、誰にでもわかるように明示すること」と定義される。この場合、「不要物を一掃する」整理を前提としており、整理・整頓は一対で機能を果たす。
まず整理によって必要な物だけが残る。それらを生産活動においてもっとも効率よく置き直し、再び乱れないようにルール化する。さらにルールを維持するためには“誰にでも”わかる形で、その物の置き方をあらかじめ“標準化”しておくことが大切である。また「明示する」とは「表示する」ことであり、「看板」がその手段の代表格で、看板作戦は「目で見る整頓」として位置づけられる。
整理は「要る物と要らない物をハッキリ分けて、要らない物を捨てること」と定義される。
不要物はやがてムダとなって潜在化し、さまざまな問題を派生させる、コスト高、作業ミス、品質不良、機械故障、納期遅れ等。これらを一掃し、常に「必要な物を、必要な時に、必要なだけ造る」JIT生産を維持するためには、この整理は不可欠である。
整理を実施する際には、要・不要を区分けする明確な基準を決めること、全社的運動として推進することが重要なポイントとなる。また一般にその基準には使用頻度を採用し、要る=使う、要らない=使えない・使わない、ととらえられる。
整理の代表として赤札作戦があり、製造現場のアカやムダを表面化することから「目で見る整理」といわれる。
関連用語: 整列
機械設備、治工具、金型等に関する看板は、"どんな機械・道具が、どこに"あるか、置場を明らかにするために表示される。機械設備名、設備コード、資産管理No.、設備区分(機械設備、測定具、金型、車両運搬具の分類)、管理部門名、取得年月(設備を導入した年月)、工程名、担当者名等を記入し置場に立てる。また機械設備に直接貼り付けたり、天井に吊るし掲示したりする。(図84)
図84 設備看板
工場内のスペースを有効に使うためには、スムーズな物の流れを考慮した各場所の位置決めをし、かつ安全が確保されていなくてはならない。その規制手段として用いられるのが、「線引き」である。一般の道路に見られるように、スペースに"線を引く"ことで表示する。通路と作業区を分ける「区画線」、扉の「開閉線」、通行の流れを示す「方向線」、置き場所を区分けする「置場線」、危険信号の「タイガーマーク」等があげられる。
また「線引き」には通常ペンキを用いることから、「ペンキ作戦」と呼ばれる。また、テープを貼ったり、アクリル板を線状に切り接着したりする。色については、はっきりとわかるように目立つものが望ましく、黄線や白線が適する。幅は5~10cmぐらい。(図87)
図87 ペンキ作戦での線引き例
清掃保全のあり方。
清掃点検業務において、何らかの不具合点や欠陥を見つけたら、“その時点・その場”で作業者自らが復元もしくは改革を行う。なお、即時保全が可能なレベル・項目をあらかじめ設定しておく。即時保全が不可能な場合は、「保全カード」を欠陥箇所に貼り付け、「保全かんばん」を掲示し、保全担当部門への依頼保全とする。
ペンキ作戦における"線引き"の1種で、危険地区に注意をうながすためのもの。通常、黄色と黒の斜め線を交互に引くことから、「虎マーク」とか「タイガーマーク」と呼ばれる。
通路に機械の一部がはみ出ていたり、パイプが横切っている箇所や、エレベータの昇降口や階段の第1段目等につけられる。
作業者がひと目で感知できる「目で見る整頓」であると同時に、安全管理における危険予知の面でも重要である。(図88)
図88 タイガーマーク
関連用語: ペンキ作戦
定期的にもしくはあまり生産・出荷されない品目で、長期間使われず保管されることから、休眠部品、眠り在庫、スリーピングストックとも呼ばれる。季節製品に用いる部品や、特注部品、高額部品、サービス部品等がこれにあたる。ただし、使用頻度によっては通常の生産活動において不要在庫品とされ、現場から離して置場を設ける。
なお、不要在庫品の中でも再使用不可の死蔵品とは区別し対処する。
関連用語: 死蔵品